2021/05/20 18:08

 洒落た色柄で着姿の美しさを引き立てる、おしゃれ着のきものには欠かせない名古屋帯。お太鼓結びや角出しなどの結び方の楽しみも自在で、きもの好きは何本も持っていたいアイテムです。

 

 その名古屋帯の歴史は以外に浅く、諸説ありますが大正時代に名古屋女学校の創始者 越原春子氏が考案し、名古屋の松坂屋が販売したことで全国に広まったという説と、名古屋在住だった飯田志よう氏が中部工芸展覧会に「文化帯」として二重太鼓結びを一重太鼓結びにするために簡略化したものが最初であるという説があります。いずれにしても、この名古屋帯の発明により、今様の着付のきものはより身近になり、日常でも着やすくなったことは確かです。

 

 名古屋帯には九寸名古屋帯と袋名古屋帯(八寸名古屋帯)の2種類があります。帯芯によって形付ける九寸名古屋帯は主に地が薄いものが多く、友禅などの染め物や織物でも細かい文様を織りなしたものがあり、仕立てる前の幅は約九寸(約34cm)で、主に木綿の帯芯を入れて仕立てます。

 袋名古屋帯(八寸名古屋帯)は主に紬地などが多く、生地の厚い織物で作られるため、帯芯を使わず、お太鼓の部分の返し生地をかがる仕立てとなり、軽くてより結びやすい物が多いです。

 

 名古屋帯の使い分けとして、どちらもおしゃれきもの中心の合わせ方が基本ではありますが、九寸名古屋帯は染または織の柄によっては、略礼装として締めることができるものもあり、種類も豊富で使いやすいのが特徴です。

 

きものをより楽しく豊かにするために、まず名古屋帯から選んでみませんか?

 

(文・きもの研究家 石﨑 功)





名古屋帯のページへ
https://kyujiro5298.thebase.in/categories/3505808